ALSで使える薬(2025/5時点)


自己学習もかねてまとめました。

長らくリルゾールとエダラボンが主流でしたが、

昨年2024年から、ロゼバラミンが使用できるようになりました。

週2回病院通ったり、自己注射が怖い場合には、在宅診療での注射も一つだと思います。

ただ在宅診療は医療費がかなり高いので、通院が面倒というだけでは在宅診療を開始する理由としては少し弱いのかもしれませんが

週2回通院で日常生活にかなり支障があるくらいの負担感であれば、在宅診療も選択肢かなあと思っています。

あと、2025年3月からトフェルセンも使用可能になりました。

■ 疾患修飾治療(DMT)

  1. リルゾール(リルテック)
    • グルタミン酸遊離抑制作用
    • エビデンス:12〜18か月時点の生存率がプラセボ群より有意に高く、統計モデル上で生存期間を平均約2〜3か月延長する効果が示された(NEJM 1994)
    • 基本的には、症状5年未満、呼吸機能が保たれている(努力肺活量FVCが60%以上)、気管切開していない患者が対象。ただ、症状5年以上、肺活量が60%以下でも、人工呼吸器に依存していない誤嚥予防のみを目的とした気切患者での使用も、リルゾール有益かもしれないといわれている。(Up to date)
    • 用法:50mg 1日2回
    • 副作用:AST/ALT上昇、悪心、疲労感
  2. エダラボン(ラジカット)
    • 活性酸素除去作用(フリーラジカルスカベンジャー)
    • エビデンス:初期ALS(FVC 80%以上、発症から2年以内)においてALSFRS-Rの低下を抑制(Lancet Neurology 2017)
    • 改善対象:運動機能(ALSFRS-Rスコア低下の抑制)
    • プラセボ群:24週で−7.50点の低下、ラジカット群:−5.01点の低下(約2.5点の機能維持)
    • 点滴静注(14日間連日→14日間休薬→10日間投与を繰り返す)
    • 副作用:皮疹、浮腫、腎機能障害
  3. メコバラミン(ロゼバラミン)高用量筋注療法
    • 神経保護作用が期待されるビタミンB12製剤
    • エビデンス:JRCT試験(JAMA Neurology 2022)で生存中央値を30.0か月 vs プラセボ群の21.4か月に延長、ALSFRS-Rスコアの低下も緩やか(−1.97点 vs −2.49点/月)
    • 改善対象:生存期間および運動機能
    • 日本では2023年にALS治療薬として承認
    • 使用例:25mg筋注を週2回継続(少なくとも48週間)
    • 副作用:軽度の注射部位痛・掻痒感程度
  4. トフェルセン(Tofersen)
    • SOD1遺伝子変異を対象としたアンチセンスオリゴ(ASO)製剤
    • 改善対象:SOD1関連ALSの病態進行抑制とNFL(神経フィラメント軽鎖)低下
    • VALOR試験(NEJM 2022):ALSFRS-Rスコア低下抑制傾向(統計学的有意差はp=0.07)、NFL値の有意低下
    • 使用例:髄腔内投与(腰の骨の隙間から細い針で注入します)。初回投与後、2週後、4週後に投与し、その後は4週間隔で投与
    • SOD1遺伝子変異を血液検査で調べます。それで異常がでれば、治療対象になります。

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