昨日から、緩和医療学会で博多に来ています。
これまで神経学会や内科学会しか行ったことなかったのですが、緩和医療となる、参加者が医者だけではなく
看護師などコメディカルスタッフが非常に多いですね!講演会も、医療内容だけではなく、指示をどうすれば看護師に伝えられるかというテーマもちらほらあり、面白いなあと思いました。
さて、緩和医療学会のHPをみていると面白い論文が投稿されていましたので簡単にご紹介します。
Palliat Care Res 2025; 20(3): 137–148
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jspm/20/3/20_24-00060/_pdf/-char/ja
訪問診療クリニックの同行看護師の役割は何か、というテーマです。
以下まとめてみました。
訪問診療「同行看護師」の本当の役割とは?
~訪問看護師との違いと、在宅クリニックの強み~
そもそも「同行看護師」って?
「同行看護師」とは、医師が患者宅へ訪問診療を行う際に一緒に同行し、現場で診療補助や患者支援を行う看護師のことです。一方、「訪問看護師」は看護師単独でお宅を訪問し、ケアや管理を担う仕事です。
同じ「在宅医療」の「看護師」でも、両者の役割は全然違います。
特に終末期ケアでは、その“違い”が診療の質を左右します。
訪問看護師と共通の役割(基盤となる看護力)
まず、同行看護師・訪問看護師どちらも大切な共通役割が4つあります。
- 意思決定支援
患者さん・ご家族の想いを受け止め、最期まで自分らしく生きるための選択を支える“伴走者”です。 - 直接的ケア
医療的ケアや身体介助だけでなく、家族の不安や悩みへの寄り添いも担当。 - 全人的アセスメント
身体の状態だけでなく、その人の人生観や家族背景、住環境など“全体像”を捉える視点が大切です。 - 多職種との連携
医師・看護師・ケアマネ・薬局など、多職種チームの橋渡しとして、情報共有・調整役を果たします。
クリニック「同行看護師」だからこそできる独自の役割
ここからがポイントです。
同行看護師は、訪問看護師にはない“医師と一緒に動く現場力”で、5つの特別な役割を担っています。
- 診療補助(医師の隣で診療を支える)
注射・処置の介助や物品準備、時には医療行為のサポート。
“医師が診療に集中できる環境”を作り、クリニックの診療品質を守っています。 - 医師との協働・コンサル役
ただ横にいるだけでなく、患者・家族の様子を医師に共有し、その場で診療方針を一緒にディスカッション。
「看護師目線の気づき」を即座に活かせるのは、同行看護師ならでは。 - 医師説明の“通訳・補足”
医師の説明が難しく感じるご家族や患者さんに、“かみくだいた言葉で補足・説明”。
**その場で誤解を防ぐ「橋渡し役」**です。 - 診療現場の「空気づくり」
終末期やシリアスな場面で、“医師と家族のあいだ”を温かくつなぐ。
患者・家族だけでなく、医師や他職種もリラックスして話せる雰囲気作りも担います。 - 多職種・若手への教育・相談役
医師同行で得た現場知識を、訪問看護師や多職種にフィードバックしたり、勉強会をリード。
現場全体のスキルアップ・チームの底上げにも貢献しています。
といった内容でした。
大変おもしろく、実感をもって読みました。
実際、当院の同行看護師に話を聞くと、同行って何をしたらいいかわからないとたびたび聞きます。
一般的な看護力に加えて、訪問ならではの5~9の役割が十分備わってくれば
クリニックの診療の質ももう一段階上がるのだろうなあと思います。
スタッフの皆さん、時間かかると思いますが、一例一例患者さんを大切にしながら
一緒に成長できればと思います。
院長 中尾
まとめ
「同行看護師」は、医師の“隣で診療を支える”だけでなく、
現場のハブ・コンサル・調整・教育…と、在宅クリニックを進化させるカギです。
訪問看護師の経験がある方にも、
「もう一歩チーム医療の“核”になりたい」「在宅現場のコア人材として成長したい」
という方には、ぜひ挑戦してほしい新しい看護のキャリアです。
【ご興味のある方は、ぜひ見学にお越しください!】