「白衣を脱いだら、診療はどう変わる?」―当院の訪問診療で感じたこと



病院といえば、やっぱり“白衣姿の医師”というイメージが強いですよね。当院でも、しばらくは白衣を着て訪問診療にお伺いしていました。でも最近、少しずつ服装を見直すことにしました。

きっかけは、精神科や小児科の先生たちが「白衣だと患者さんが緊張しやすい」とあえて白衣を着ないと聞いたこと。それに、実際にご高齢の患者さんから「白衣で来られると近所に診療を受けていることが知られそうで気になる」「病院みたいで落ち着かない」と言われる場面もありました。また「在宅白衣高血圧」というべきか、訪看さんが測定した血圧と比べて当院が診療時に測定した血圧が、かなり高値になっていたことでした。

そこで、今年7月ごろから“白衣を着ないスタイル”で診療することに。患者さんからの印象や、高血圧がどうなるかなあと。

■ 変化はどうだったか?

驚くほど「大きな違い」はありませんでした。ただ、ご家族からちょっとした世間話や、普段なら出てこない話題が出やすくなった気がします。他施設のスタッフからも、白衣を着ているときより気軽に話しかけてくれることが増えたような気がします。

これは、「白衣は信頼感や安心感を与える一方で、患者さんによっては威圧感や緊張感のもとにもなる」という研究ともリンクします。
特に在宅医療の現場では、「服装ひとつで雰囲気や会話の質が変わる」ことを、改めて実感しました。

(高血圧がどうなったかは、測定できていません)

■ じゃあ、これからは白衣を着ない方がいい?

一概にそうとも言えません。患者さんやご家族の感じ方はさまざまです。最初は「やっぱり白衣の方が安心できる」と言われる方もいらっしゃいますし、逆に「カジュアルな服装の方が話しやすい」と感じる方もいます。

これからも、患者さんとご家族、多職種が“本音で話しやすい”診療を目指して、工夫を続けていきます!


参考:医師の白衣と患者さんの本音についての研究

  • 白衣は多くの患者さんにとって「信頼感・安心感」の象徴。ただし威圧感や緊張をもたらすことも。
  • 「白衣高血圧」など、服装が患者さんの生理的反応に影響するケースも。
  • 医師の服装によって患者さんとのコミュニケーションや協力態度が変わる可能性があり、必ずしも「白衣が正解」とは限らない。
  • 服装は清潔感・衛生管理も大切。感染対策を考えつつ、現場に合ったスタイルを選ぶことがポイント。

出典:BMJ Open, 帝塚山大学パイロット研究、国内在宅診療医の調査等


 ・そのほか:日本の研究では、白衣の着用が患者さんの「共感性」の感じ方に全体的な影響を与えないことが示されました。特に男性患者は、カジュアルな服装の医師に対してより高い共感性を感じると報告されています (BMC Family Practice 22(1))


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